2015年6月17日水曜日

『実況ツイート』 - スタンレーカップ編

 この記事ではスタンレーカップ・ファイナルのゲーム6でのNHL選手を始めとした、多くの有名人による実況ツイートをまとめた記事です。

 知らない人がたくさんいて、調べながら書かなければいけないので、まずは知っている人から、簡単に紹介していきます。


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ポール・ビショネット選手: アントン・ヴァーメットは一緒にプレーした選手の中でも一番いい奴だった。とても嬉しく思う。






『NHL選手によるスタンレーカップ・ガイド:ファイナル編』を綴ってくれたマイク・ラップ選手:
 テイヴスの後にすぐティモネン、ヴァーメット、リチャーズにカップを渡したブラックハークスは、本当に良くできている組織だ!

 ・キモ・ティモネン選手は、1998年にナッシュビルでNHLデビューをした、フィンランド出身のベテラン選手。2004年にはヨーロッパリーグへ2005年にナッシュビルに戻り、2007年からフィラデルフィアへ移籍、今年にシカゴに移籍し、今シーズンを持って引退すると宣言。そして、念願のスタンレーカップ優勝を初めて果たしました!

 ・アンドリュー・ヴァーメット選手は2003年オタワにてNHLデビュー。2008年にコロンバス、2011年にフェニックスへ移籍。同じく今シーズンシカゴへ入団。プレーオフでは4ゴール。スタンレーカップ・ファイナルのゲーム1、ゲーム5で共にGWG(決勝点)を決めました。

 ・ブラッド・リチャーズ選手は2000年にタンパベイに入団しロックアウトを除いて7年プレー。2007年にダラスへ移籍。2011年にレンジャーズへ移り、今シーズンシカゴに参入。シカゴのGMから電話で、「うちに来い。スタンレーカップ勝つから。」と言われたらしい。一年契約で入団を決意し、スタンレーカップを手にした。ファイナルでは2アシスト。ケインはリチャーズに対して、「また戻ってきてほしい。人として好きだ。選手として好きだ。もう友達と呼べる存在だ。」と言った。





ヤロミール・ヤーガー選手: 12月の時点で僕は知っていた。だからこの写真を撮ったのさ。『少年たち』、そしてブラックホークス、おめでとう!スタンレーカップ!

2015年6月15日月曜日

『スコット・ゴメスとケン・ダネイコ:ある話』 - スコット・ゴメス


 今回の記事はThe Players' Tribuneの記者が企画した、面白いインサイダーな記事です。

今までケン・ダネイコ選手について書かれていた記事がいくつかありました。彼は本当に良い選手なだけではなく、いい人だったんだと思います。





スコット・ゴメス - Scott Gomez

1979年12月23日生まれ アメリカ、アラスカ州出身

身長:180㎝
体重:98㎏

アメリカ代表4回

スタンレーカップ2回優勝

1999年からモントリオール、サンホゼ、フロリダ、そしてECHLを渡りプレーを続け、2014年にニュージャージに戻る。





ケン・ダネイコ - Ken Daneyko

1964年4月17日生まれ
カナダ、オンタリオ州出身

身長:183㎝
体重:88㎏

1983~2003年
2度AHLに降格するが、再びNHLに復帰。

スタンレーカップ2回優勝

スコット・スティーブンズ背番号4番と並び、背番号3番でデビルズの永久欠番となっている。






さっそく記事に参ります。誤訳があるかと思います。ご了承ください。

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 私たちは、ニュージャージー・デビルズのチームメイト;スコット・ゴメスとケン・ダネイコに、ある日の出来事について、両者の視点から話してもらう事にした。
 

スコット・ゴメス編

 1999年。僕は、NHL、ニュージャージー・デビルスのロスターに初めて載った、アラスカ出身の新人だった。練習が始まって一週が経ち、僕は転入生のような気分だった。成長期がとっくに過ぎた男達が居る以外は… ジュニアのホッケーの様にみんな仲良しな訳ではない。NHLでは、皆それぞれ家族や責任がある。僕はなるべく目立たない様に大人しくしていた。ロッカールームに入れば、様々なルールやエチケットがあることに気付く。何事にも上下関係が存在する。99年のデビルスだ。ロッカーを見渡せば、スコット・ニーダーマイヤー、マーティン・ブロデューア、スコット・”ファッキン”・スティーブンスが居る。実にやばい。

 ある日の練習後、若い新人である僕は、氷上に最後の一人になるまで残った。誰の目に止まらなくても、耳に届かなくても、最大限の努力をする。そしてロッカーに戻り、案の定、みんな帰っていた。

 僕はシャワーに入った。シャンプーかなんかをしていた時、突然、巨人の様な太い声が聞こえた。


『マジかよ!ありえない!!』


 僕は心臓が止まるかと思うほどびっくりした。もう誰もいないと思っていたから。


『嘘だろ!!ありえるはずがない!!』


 声ですぐにわかった。やばい、ケン・ダネイコだ。頭にたくさん泡が乗ったまま、どうしようかと考えた。彼について、唯一知っていたことは、彼のあだ名は『ザ・キング』であることで、僕はもっと怖くなった。僕は最低な事態を予測し始める。ダノ(ダネイコ)は練習後一人でいるのが好きだったのか、きっと彼はいつも最後の一人で、今は誰も残っていてはいけなかったのかも知れない。ここに居てよかったのかと事前に誰かに聞くべきだった…


『ウ・ソ・だ・ろ!!!』


 そして僕はシャワーから顔を出すと、ダノは鏡の前に立って、ハルク・ホーガンの様に胸筋をピクピクさせていた。 

 僕は『やあ、キング。大丈夫?』と聞いた。

 彼は真顔で振り向いた。


『大丈夫なんかじゃない!36歳の男がこんなにも格好良いなんて、ありえないぜ!!』


―――15年後、僕たちは親友になった。







ケン・ダネイコ編

 僕は、控えめに言ったとしても、エネルギッシュで、強烈な男だ。当時、筋トレにハマっていた。練習が終わり、ゴーマー(ゴメス)はシャワーに居たらしいが、僕は知らなかった。当時では、年齢で言うと、チームの中でも上の方になっていた頃だったが、まだまだ現役並みに強かった。鏡越しに、自分の肉体美を眺めていた。うめきながら。叫んでいたかもしれない。プロレスの選手の様に。

 
『マジかよ!ありえない!!』


 ただの遊びだ。自分一人だと思っていた。

 スコットはいつもベテランの選手等にとっても敬意を払っていた。シャワーでは緊張していたに違いない。スコットの思考が想像できる。「うわあ、彼は何で叫んでいるんだ。ダノはこの組織に長い間居る。彼の前にシャワーを浴びてはいけないのかも知れない」と。

 彼がおどおどとシャワーから顔を出したのを覚えている。


『やあ、キング。大丈夫?』


 筋トレの後だったから、興奮状態だった。僕はきっと、



『大丈夫なんかじゃない!36歳の男がこんなにもマッチョだなんて、ありえないぜ!!』

とか何とか言ったと思う。


 その後の彼の表情は最高だった。安心のため息が聞こえた。考えてみると、19歳の少年がロッカーで、いい年のベテランが鏡の前で呻き声を上げていたら、誰でも少しは怯えるだろう。


 ははは、そして僕たちは2回スタンレーカップを一緒に勝った。この出来事に間違いはなかったはずだ。

2015年6月12日金曜日

『30歳のルーキー』 - ライアン・ケスラー



こんにちは。


 今回の記事は移籍について。移籍の際の心境を、面白可笑しく綴っている記事です。
ケスラー選手の場合、よりによってライバルのチームへ…

 こういった話もなかなか耳にすることは出来ないと思うので、非常に新鮮だと思います。

 ビデオ、写真もあるので、お楽しみください。






ライアン・ケスラー (Ryan Kesler)

1984年8月31日生まれ、アメリカ出身

身長:188㎝
体重:92㎏

2005~2014年 バンクーバー・カナックス
2014~現在   アナハイム・ダックス

アメリカ代表:6回
金メダル2回、銀メダル1回

オールスター:2度出場。






 誤訳があるかと思いますが、ご了承願います。

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 気まずいとでも言おうか。これがビジネスだ。もう立派な大人だ、準備は出来ている。と自分に言い聞かせる。だが、初めてロッカールームに足を踏み入れ、前に殴り合ったことがあるみんなと顔を合わせる… あぁ、気まずい。

 その相手がライアン・ゲツラフとコリー・ペリーだった場合、特にだ。僕がまだバンクーバーに属していた時は、僕らはお互い恨みあう程の宿敵だった。僕は、彼らをプレーに集中させない為なら、手段を選ばなかった。どんな手段でも…プリ・シーズンではペリーと2回乱闘をした。揉み合いの際、お互い何を言い合ってたかなんて、こんな場で言えやしない…

 ゲッツィー(ゲツラフ)との乱闘は、乱闘と呼ぶべきではない。彼には、人形のように振り回され、潰されていたから。彼はモンスター級だ。





 僕は数年の間、オフの期間にバンクーバーからトレードされるのを望んでた。ファンや、チームメイト、チームのオーナーを侮辱しているわけじゃない。ただお互い、変化が必要だった。家には3人の子供がいる。リンクの外では一般な生活を過ごしたかった。カナダ代表としてプレーをして、まるで、水槽の中の魚の様にプライバシーが無い。僕にとって、そして何より家族にとって。これはとても辛い事だった。知っている方も多いかもしれないが、19歳のころから、バンクーバーは僕にとって、ホームだった。ケヴィン・ビエクサ、アレックス・ビュロース、セディンの2人。彼らはこれからもずっと、僕の親しい友でり続ける。いつか、目が覚めて、「ワオ。僕は友達がいる場から本当に去ってしまうんだ。」と気づく。今年の夏、ずっと引っ越しのための準備をしてきて、エージェントからアナハイムへ越すとの連絡があった瞬間に、少しの不安が僕を襲った。

 アナハイムと聞いて、僕はすぐに考えたこと:「太陽の日差し、短パンとスリッパ。良いじゃん。」 その後すぐに考えたこと:「ゲツラフとペリー。やばいな。」

 それから他に色んな複雑な考えが頭を過ぎり始める。

 どうやって6歳の娘に、友達と別れなければいけないと伝えるのか?カナダの銀行口座はどうなる?税金はどうなる?どこに住むのか?家具などをどうやって送る?


 僕のキャリアの拠点はずっとバンクーバーだった。僕はエージェントに恐らく20度ほど電話を掛けた。「えーっと、カート(エージェントの名)。聞くのがすごく恥ずかしいんだけど。【これ】はどうすればいいの?」

 トレードの締切時に54人ものの選手たちがトレードされた。彼らは皆、同じような不安を抱えてるに違いない。こういった内容の記事のコメント欄には多分「お金持ちになれるんだから、黙ってろ!」の様なコメントを受けることが多いが、幸いなことに、The Players' Tribune には、コメント欄は無い。選手にも、感情っていうものを持っている。そうでないとしても、少なくとも家族は持っている。引っ越すという出来ごとに、一番直面したときは、4歳の息子に、アメリカへ引っ越すことを伝えたとき。彼はカナダ生まれで、彼はそれしか知らない。僕の試合の前に国歌を歌う事が大好きだった。彼が歌の歌詞で唯一覚えているのが国歌の「O' Canada」だったと考えたときは、胸が苦しくなった。

 幸い、アメリカ人は「フォト・ボム(写真や映像で背景に映り込む行為)」が流行っているから、息子もここでどうにかやっていけそうだ。





 僕たちは8月に、オレンジ郡(Orange County。カリフォルニア州の群... ※海外ドラマ "The O.C."はオレンジ・カウンティ―の略)に着いて、ダックスは僕の為にレッド・カーペットを敷いてくれた。トレーニング・キャンプでの初日での気持ちは絶対に忘れない。30歳の中年の男。学校の初日の気分だった。みんな僕が「お喋り」であることは知っていた。いつも野次を飛ばしていたからだ。初めの週は、ただ座り、着替え、一言も発しなかった。ゲッツィーとペリー、そしてその他の選手たちも僕はこれでもかと言うほどに歓迎してくれた。でもやっぱり、10年近く争ってきた間柄だ。僕は「黙って、このチームの雰囲気やルールなどに慣れていくのが、一番だ。」と考えた。プロのアドバイスだ。〆切間際にトレードした人たちは、ハイテンションでロッカーへ入らない方がいい。1週目はジョークをしたりもしない方がいい。加入してすぐに打ち解けあい、みんな親友になる、なんてことは絶対にない。今までトレードされたことがある人間に、聞いてみるといい。やり方はそうじゃない。自分で、自分の力を証明する。証明して初めて、繋がりが出来る。

 新しい選手は、選手たちに難癖をつけられること以上に有り難いことは無い。そうされて初めて、気まずさが消滅する。子供のように接されると、気まずさが増す。一度、野次を飛ばされ(僕の場合はいつも、僕の大きな鼻のこと)、そこで初めてお互いに、心を開くことが出来る。

 僕にとってのターニング・ポイントは10月にゲツラフの家で行われた、チームのハロウィン・パーティだった。僕はいつも通り、ゴジラの全身コスチュームで参加した。(妻が選んでくれた。)コリー・ペリーはマウンティーの格好をして来た。誰かはウィル・フェレルが映画『セミプロ』で演じた際の超・短パンの格好で来た。

 氷上でチームメイトを知ることも一つだが、リンクの外で知ることも大事なことだ。パーティーで人が集まり始め、僕はゲッツィーの家の裏庭で、ゴジラの格好をして、ダーツをしていた。そこで僕はチームの一員になり始めた、と実感した。




 そして、嬉しいことに、僕のチームは今シーズンいい成績を残した。 僕らは大きく、激しいチームで、ぎしぎし(Grind)としたプレーを好む。僕のプレースタイルにぴったりだった。ゲッツィーとペリーとは、相手側より、味方側に居てくれた方が安心だ。こうやって仲良くなれた経緯に違和感を感じないと言えば嘘になる。ある日、練習へ行くために一緒にばすに乗っていて、笑っていた。僕が「一年前のこのバスに乗って、僕について、どれだけの悪口を言っていたか、何ドルを払ってでも聞いてみたいよ。」と言ったからだ。

 お互い、どんな呼び方をしていたか、について話、何度も笑いあった。ここには書けない。6歳になる息子はもうグーグルの使い方を知っている。

 ペリーから、リンクまでカープール(相乗り)して行かないか、と聞かれた日は忘れることはないだろう。1億年の間でも、僕たちがカープール友達になるとは考えもしなかっただろう。彼も同じことを言うに違いない。僕たちは仲良くなり、お互い似た同士であることが分かった。まあ、彼は僕よりもっといい車を運転していること以外は。僕は初めて貰ったNHLでの契約金で買ったフォードのF-150をまだ乗っている。

 そしてここに、且つで殴り合った者同士が、ボロボロのピックアップに乗って、選曲の権利を奪い合っている。今回は、僕がDJになったが、車のエンジンを掛けたとき、ペリーが滑稽な顔をし、何か変な臭いがしているかの様に空気を嗅ぎ始めた。「この車、ガタついているぞ。アライメント測定装置を直した方がいい。いや、新しい車買えよ。この車はボロすぎる。」と言った。

 こういって冷やかし合いが毎日行われる。僕が言いたいのは、今週トレードされる選手たち、すぐ慣れる。(記事記載時はトレード〆切間近)。すぐに、また新しい選手の様に扱ってくれないかな、と思う時が来る。



 忘れるところだった。ここで最後に、プロのアドバイス。


―――下着の広告のモデルにはなるな。永遠に付きまとわれる。―――

















2015年6月9日火曜日

『マリオ・ルミューの復帰について』 - ヤロミール・ヤーガー



こんにちは。

 フェイスブックの「Complete Hockey News」というページで見た、元ペンギンズの伝説の2人。マリオ・ルミューとヤロミール・ヤーガーの話。これはヤーガー本人のフェイスブックページにて、本人による投稿です。全てがチェコ語なので、分かりませんが、フォローしてみるのもいいかもしれません。アイスホッケーファンとしては、この記事を読んで損はしないでしょう。

 
ここからは、Complete Hockey Newsのページの投稿の翻訳となります。

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 ヤロミール・ヤーガー選手がフェイスブックにて、マリオ・ルミューの現役復帰における真実を綴った。
 
 この物語はマリオが現役復帰した5年前の出来事である。1996年3月24年。同日に一人の息子が生まれたが、親として、望むような状況ではなかった。オースティンは数か月早く生まれてしまった。誰もどうなるかわからなかった。マリオは3日間休みを取り、病院で妻と息子と時間を過ごした。3日間一睡もせず、疲れ切っていた頃、マリオに素晴らしいニュースを受けた。息子は健康に育つ、と。マリオは本当にうれしくなり、その晩、試合に出た。セントルイスと対戦し、勝った。何対何だったかは忘れてしまったが、マリオのポイントは覚えている。5ゴールと2アシスト。書き間違いではない。5ゴールと2アシストだ。信じてくれ。僕はその場にいた。信じれないとしたら、Youtubeで見てみてくれ。

 時は過ぎ、マリオはその翌年、引退した。1997年3月のことだった。フィラデルフィア戦で、マリオが試合終了2分前に決めたあのゴールは、彼のキャリアにおける最後のゴールになったと、殆どのファン達が思っただろう。

 そしてまた、3年後、マリオは家族とゴルフに時間を捧げるが、ペンギンズのオーナーでもあった彼は1試合も見逃さなかった。時には練習に遊びに来たりして、当時4歳だった息子のオースティンも居た。オースティンもホッケーを愛して止まなく、常にスティックを持っていた。

 ある日、オースティンはスタッフの部屋をウロウロし、選手のスケートの研磨をしているスタッフに声を掛けた。

オースティン 「やあ、スティーブ。何してるの?」
スティーブ   「やあ。選手たちのスケートを研磨しているよ。今夜は試合があるんだ。」
オースティン 「知ってるよ。僕も観るよ。このポスターの選手はだれ?」
         (マリオ・ルミューのポスターを指さす)

スティーブ  「あれは君のお父さんだよ!」

オースティン 「ボクのお父さんはホッケーしていたの??」

スティーブはオースティンを信じられないという顔をして言った。
         「君のお父さんは、長い長い間、世界一のホッケー選手だったんだよ!!」

オースティン 「へー、知らなかった。」

オースティンはスティックを持って、ボールで遊び続けた…



 このオースティンとスティーブの会話を、マリオは必ず聞いたと確信している。なぜなら1か月後に、現役復帰を発表したからだ。最初の2試合はトロント戦、オタワ戦だった。両方とも勝利し、マリオのポイントの合計はわかるかい?

2試合、2ゴールと5アシスト。

 3年半の間、ゴルフなどのレジャーを楽しんでた人間が。信じられない。

 マリオの現役復帰の理由は、オースティンだったと僕は推測している。オースティンはやっとお父さんのプレーの観ることができ、ルミューは再度、永遠に世界一の選手であることを証明した。





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2015年6月8日月曜日

『エリート・ディフェンスマン 入門』 (下) - ケヴィン・シャッテンカーク

さっそく続きに参ります。

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 やあ。『エリート・ディフェンスマン』(上)は読んでくれたかな?これを読む前にそっちの方も読んで欲しい。ツイッターでウェスタン・コンファレンスの選手ばかりだ、との指摘があったので、今回はイースタンのディフェンスマンの記事を書こうと思う。頻繁に対戦する選手の方がやはりよく知っているので、このリストで書いていない選手が居ても、悪気はないので、どうか気分を悪くしないで欲しい。



P.K スバン (P.K. Subban)

 面白いことに、僕たちは同じ年齢で、昔から対戦し合って来た。彼は、ダウティーと同じように、自分のプレーに自信を持っている。子供の頃からだ。10歳の時にトーナメントでトロントに行った時に初めてスバンと対戦した。彼の上手さは噂に聞いていた。チビのホッケー界で伝説のように言われていた。試合が始まり1分も経たない間に、彼がレッドラインを超えた辺りから爆弾のようなスラップショットを打ち、入りそうになった。その試合であと2回同じシュートを打った。僕は「なんだこいつは。」と思った。そして今NHLでも対戦している。

 P.K.は嫌われ者だが、それは彼の狙いだ。彼のプレーは相手のイライラさせる。そして、相手はP.K.に気を取られ、プレーから気を散らせる。これはとても賢いことだ。P.K.を見て、みんながわかることは、彼のスケーティングでのエッジの使い方の上手さだ。フォアスケーティングからバックへ変換する際に、推進力を失わない。これがエッジワークの見本だ。


 彼は去年の対ボストンのシリーズで、本領を発揮したと思う。ノリス・トロフィー(NHLのベスト・ディフェンス賞)を受賞した事も大きかったが、プレーオフで、キツイ状況でのプレー。シリーズ1試合目、アウェーの試合で、ダブルOTのゲーム・ウィナーを決めた事はすごい成果だ。打つ時に膝が氷に付くほどのバッティングには、もの凄いパワーは込められている。





エリック・カールソン (Erik Karlsson)

 スケーティング、パックハンドリングの上手さ、それらのスキルより増して優れているのが、ゴール前の渋滞をほぼ毎回抜けて、キーパーまで届かせる先天的なシューティング能力。彼が放つシュートがブロックされるのはほとんど目にしない。強いスラップショットを見るのはみんな好きだと思うが、ポイントからの強いリストシュートも同じくらい効果的である。カールソンはそれにおいて、誰よりも上手だ(オリバー・エックマン・ラーソンは少しの差で2位だ)。ウィング選手にとってゴール前のチップで究極的にしやすい場所があり、(踝(くるぶし)から膝の間の高さ)カールソンはそれによって、誰よりもアシストをしている。

 最近では、より大きく、安全性の高い防具により、選手たちは氷上で横になり、ブロックすることを前ほど恐れてはいなく、一シーズンに200以上ブロックしているディフェンスもいる。(この数字はばかげている。)こういった時代には、ポイントでパックを持っている時、数えきれない程の足がシューティング・レーンに入ってくる。カールソンはNBAのポイント・ガードの様にブルーライン上を徘徊し、目で周りを惑わせ、自分でシューティング・レーンを作り出す独特な能力を持っている。

 マークするウィングを凍らせるような動きを見てほしい。


 そして、さすがヨーロッパ出身。NHLではあまり見る事がないような技術を見せつける。NHLの中で(ディフェンスの中でとは言っていない)こういったハイレベルなプレーをこんなにも簡単であるかの様に見せてしまうのも、彼しかいないと思う。




クリス・レタング (Kris Letang)

 彼は明らかに上手なスケーターだ。よく見てみると彼は、ターンしてから2回か3回氷を力強く蹴るだけで、ディフェンスと差を付けていることがわかる。しかし、レタングの最大の武器は、パックを持った時の平静さだ。ブルーライン上を徘徊しているとき、彼の顔は常に上がっていて、次のプレーを探している。彼は自分についている相手を見ているのと同時に、その相手の後ろの選手たちの動きも把握し、1プレー先を読んでいる。彼の周囲的観察力は驚くべきである。僕は彼のパックを持った時の平静さをずっと尊敬している。彼は氷上の全てを完全に把握しているように思える。このように彼の眼は常に周囲を見ている。


 (上)の記事で言ったように、チェンジをする時のダンプの際に、空中のパックをスティックで落とす動体視力と、すぐさまにパスを出してチャンスを作る選手がチームに居る事は、非常に重要であることはあまり知られていない事実である。学ぼうとして学べる技術ではなく、レタングはこれがすごく上手だ。

 ファンの多くは気づいていないかも知れないが、2対1の状況が出来る一つ前のプレーを注意してみて欲しい。その状況は、ディフェンスがブルーラインで空中のパックを奪い、フォワードへの素早いパスによって生まれる場合が多い。
 


アレックス・ピエトランジェロ (Alex Pietrangelo)

 ペトロ(ピエトランジェロ)には、もう一つ、テレビではあまり話題にならない優れた能力がある。脱出力である。ゴール前のリバウンドの取り合いで、たくさんのスティックがぶつかり合い、選手たちがゴチャゴチャになっている場面があるとする。世界中の誰かがパックをキレイに持って行って、ブレークアウトのパスを出すとすれば、それはきっとペトロだ。その場合の統計値はある?もし存在しないとすれば、作った方がいい。Wins From Scrums. WFS. (ゴッチャの中での勝ち)。彼のWFSのパーセンテージはきっと80%以上だと思う。

 そしてもう一つ、過小評価されている、彼の知られざる能力はシュート・ブロック。彼はいつも、シューティング・レーンに入り、枠に入らないようにパックを「一口」触る。ペトロは今シーズン含め、3シーズン連続、ショット・ブロックの統計値が上位20位に入っている。そして、ディフェンスによるアシストの統計でも、上位20位である。持ち合わせる2つの能力として、とても独特な組み合わせだ。

 オフェンスでは、プレーへの参加をする機会を見極める能力も本当に上手になって来ている。フェイスオフ・サークル周辺から多くのゴールを決めている。ディフェンスマンとしては珍しい。T.J. オーシーからパスを貰うため、小さなスペースに入っていく彼を見てほしい。


 これらの能力が、彼がエリートであることを証明できないのであれば、彼は仮想の野球チーム(ベースボール・ファンタシー)のことで、みんなを死ぬほど退屈にさせる能力も持っている。ドラフトの(もちろん仮想)14位で獲得したリリーフのピッチャーの話なんて、誰も興味ないぜ、ペトロ。

 今の所はこれでおしまい。@shattdeucesに、ツイートで他の誰かについて書いて欲しいとの依頼があれば、来シーズンが終わった際に(6月末に終わらないことを祈る)もう一つ、記事を書こうと思う。

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 いかがだったでしょうか。映像があると、説明もわかりやすいですね。(私の下手な訳でわかりやすくなっている事は内緒で…)

 まだまだ気になっている記事もありますので、お楽しみに。

『エリート・ディフェンスマン 入門』 (上) - ケヴィン・シャッテンカーク

こんにちは。

ページビュー数がうなぎ上りで非常にハッピーなわたくしでございます。

シェアして下さった方、ページを見てくださっている方、ありがとうございます。

 前に『エリート・センター 入門』の記事が書いてて面白かったので、
続きましてセントルイス・ブルースのケヴィン・シャッテンカーク選手による『エリート・ディフェンスマン』を書こうと思います。

 『エリート・ディフェンスマン』には(上)と(下)があります。

ケヴィン・シャッテンカーク (Kevin Shattenkirk) 
セントルイス・ブルース
1989年1月29日生まれ アメリカ・コネティカット州出身
身長:180㎝
体重:94㎏

2007年にコロラドからドラフトにかかり、AHLでプレー
2010年11月4日にNHLデビュー

NHLロックアウト中はフィンランドでプレーし、
2013年、セントルイスと4年契約を結ぶ











ここからはシャッテンカーク選手による記事になります。

多少誤訳があると思いますが、ご了承願います。



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 初めてニコラス・リドストロムと試合をして、彼のさり気ない、知られざるプレーの数々を目の当たりにした事は一生忘れることはない。相手チームがダンプを試みる際に、空中のパックを叩き落とすのが、とてつもなく上手だった。彼がいる場でチップをするのは、不可能にさえ思えた。「僕もあれを取得しなければ。とっても大事な技だ」と思った事を覚えている。

 彼はもう引退してしまったが、今でも他の選手のプレーをたくさん見て、色んな技を見ては自分のものにしている。ローガン・コーチャー選手の『エリート・センター』の記事をとってもエンジョイしたので、僕も似たようにNHLのエリートなディフェンスマンについて書いて分析してみようと思う。

誰かを忘れてしまった場合、誹謗中傷のツイートはしないで欲しい。

このリストでは、よく相手をする選手を主とする。


ドリュー・ダウティー (Drew Doughty) 

 エリート・ディフェンスマンといって彼の名がすぐに浮かんだ。彼のプレーは自信と傲慢(いい意味で)で溢れていて、他のディフェンスマンはしようとも思わないようなプレーをする。彼のスケーティングは明瞭に優れている。ニュートラルゾーンで顔を上げながら、ディフェンスの間を縫うように突き抜ける技は、教わって出来る技ではない。だが、彼の本当の超・能力は、直感的知覚である。

 近頃、多くのチームはバックチェックをし過ぎる傾向がある。フォワードも守備的な責任を叩き込まれているため、3対2のラッシュといった状況には中々ならない。これによって、ラッシュに参加する、ダウティーの様な新種の積極的なディフェンスマンが生まれてくる。守備に残りポジション的に良いディフェンスマンであることは簡単だが、リスクを取ってラッシュに参加する選択をするのはとても難しく、巧妙なことである。ドリューは、プレーに参加する絶妙なタイミングを読み取ることが世界一上手だ。スタンレーカップ・ファイナルのレンジャーズ戦(2014年)でのゴールで、彼の特別さがよくわかる。


 このような大事な場面で、プレーに参加し、尚且つ股下を通してしまう様な自信… 信じられない。彼をこれほど自由にプレーさせることが出来ているコーチ:ダリル・サターは大きな賞賛を受けるべきだ。


シー・ウェバー (Shea Weber)

 彼と対戦するのは、全然好きじゃない。PKでゴール前に立つディフェンスマンとして、彼がスティックを振り上げた時の恐怖と言えば尋常じゃない。一度彼のバッティングが足に当たった時、僕のシンガードは破壊した。ピリオドの間にロッカーに戻り見たらシンガードの割れていた。ありがたいことに、恐怖を感じる事はない。シュートが速すぎるから。反射する時間はゼロだ。「やばい、これは当たったら痛い」と考える時間しかない。

 彼に対する戦略として、スラップショットを打たせないようスペースを与えない事を全てのチームにあると思う。彼には2度チャンスがあれば十分だ。シュートがブロックされなければ、ゴールとなるか、リバウンドが出る。キーパーが彼のシュートをキャッチする、吸収するのは不可能。パワープレイでシュートを通すため、完璧なポジションへ入る彼の賢さは、敵チームにとって厄介だ。ブルーラインでパックを待つ時代は終わってしまった。プレーを認識し、空いたスペースに入る彼の様子を見てほしい。

 フェイスオフサークルからの、約175km/h のスラップショット。非常にズルい。


 ディフェンスの場合。彼は完全なる野獣だ。極めてパワーが強く、彼がとても有利になる様な多くの強みを秘めている。コーナーでの体のポジショニングは傑出していて、マークされてしまえば、息さえできない。ゴール前でのちょっとしたクロスチェックや、コーナーのちょっとしたプッシュで、審判から少し見逃してもらえるような、ベテラン特有のリスペクトという特権を持っていて、彼相手では、コーナから出ることは出来ない。

 プレデターズと対戦する際、パックをブルーラインの向こうへ運ぶ時は、要注意だ。多くのチームがナッシュビル戦でダンプ・アンド・チェイスを使うのには理由がある。





ライアン・サター (Ryan Suter) 

 彼は脳みそだ。NHLで一番頭がいい。今のNHLでニコラス・リドストロムに一番近い存在の選手だろう。1試合29分プレーするスタミナはおかしい。数字で言えば、1シフトおきに出ている計算になる。今年、僕のプレー時間が20分から22分に増えた。この2分の違いでも、疲労の量が全く違う。試合後の疲れ方でわかる。それに7分だけでも足すことを考えるだけでも肺から血が出てきそうだ。

 サターは試合中、自分の体力をセーブする時をちゃんと知っている。若い選手は、パックに貪欲になったり、時間を少々使いすぎてしまう傾向があり、バテてしまう。この賢いベテランはオンとオフをきっちりしていて、切り替えも早い。サターのように長くプレーして、プラスマイナスでプラスに留まるのはすごいことだ。(ポイント等を把握する上級のファンでも、プラスマイナスはあまり気にしないかもしれないが、ディフェンスにとって、大事なことだ。)

 ブレークアウトにおいて一番大事な最初のパスも、彼はNHLで一番だと思う。全てのパスは、テープに届き、清々しい。近代のホッケーはスピードがとても早く、相手は素早くフォアチェックに来る。ディフェンスとして、ゴール裏でパックを取る際、パスを出す前に1秒ほどある。その1秒であらゆる事が頭を巡る。ウィングは止まっているか、動いているか。レシーブはフォアハンドとなるか、バックハンドとなるか。ブレードを狙ってパスを出すか、パックを追いかけさせるようにパスを出すか。

 テレビで見ているファンたちが、認識しきれていないと思う事が、パスのスピードの重要さだ。キレイな最初のパスがゲームに流れを作り、チーム全体を速く見せることが出来る。サターはそれを完璧に理解している。彼がナッシュビルに居た頃、試合終了の10秒前にマーティン・イーラットに出したパスは一生忘れる事はないだろう。パスの重さはイーラットがディフェンスの間を抜くのに完璧で、ブレードのテープへの的確なパスだった。





ダンカン・キース (Duncan Keith)

 
 彼の超・能力はラテラル(横向き)のスケーティング。それによって、特にニュートラルゾーンで積極的に、幅広くディフェンスをすることができる。テレビで彼を見て感じたことは、彼はそんなに早くない。パックを持っているときの足の回転数が、半端ではないが、実際は落ち着いていて、頭が良い選手だ。彼のプレーを邪魔することはすごく難しい。パックを持っていないときは、ゴールを決められる絶好なポジションに入る。

 守備でのダンカンのスティックの使い方は優秀である。NHL'15のゲームをしたことある人は分かると思うが、彼はR1(ポークチェック)を完璧のタイミングで押した時のような選手だ。彼はディフェンスの中では比較的小さな選手だ。コーナーで、力で打ち勝つことは出来ないが、スティックを使い、パックを奪い、その場から無傷で出ることが出来る。結果的には同じだ。

 彼がスタンレーカップ・ファイナル(2014)での2対1で、相手のラッシュ中、ずっとスティックでパスレーンを守りきっている様子を見てほしい。クレイチへのパスを奪いに行くように見せかけ、ルーチッチに一瞬下を向かせる。その瞬間にR1だ。


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 中途半端な終わり方ですが、ここで『エリート・ディフェンスマン(上)』の終わりです。4つ目の記事を書き終えて、自分の語呂の少なさに心の痛みを感じております。

 引き続き(下)の記事もお楽しみください!

 気になるけど、英語だから読めない!など、記事翻訳のリクエスト、コメント1つ2つ、シェアなど大歓迎でございます!
どうか、私のモチベーションをあげてやってください!

2015年6月4日木曜日

『NHL選手によるスタンレーカップ・ガイド:ファイナル編』- マイク・ラップ

今シーズンのスタンレーカップ・ファイナル、
もう始まってしまいましたが、この記事に目を通してシリーズを観戦すれば、
きっとより楽しむことが出来ると思います。

ニューヨーク・レンジャーズのマイケル・ラップ選手(35)による分析とチャンピオンの予想です。

誤訳もあると思いますが、ご了承ください。

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 僕がアイスホッケーの試合で一番緊張しなかった試合は、2003年のスタンレーカップ・ファイナルの7試合目だった。嘘のように聞こえるだろう。当時は23歳で、NHLに入ったばかりだった、と言ったら尚更だ。幸いなことに、僕のチームにはケン・ダネイコが居た。

 僕達が、試合の数時間前の軽食をとっていた時、ダネイコが席に座り、彼は自身の昔話を始める。恒例のダネイコ「武勇伝タイム
の始まりだ。


 ―話は、彼がNHLの中でまだ若かった1980年頃、というところから始まる。デビルスがバッファローで試合をしているとき。笛が鳴った後に、ダネイコがキーパーと接触する。バッファロー側は腹を立てた。ダネイコはディフェンスだからだ。(※ディフェンスがキーパーと接触するのは普通ありえない。すなわちわざとである)。そして、次のシフトのフェイスオフで、彼は面白い場面に出くわす。

 バッファローのエンフォーサーがベンチから飛び出てきて、フェイスオフでダネイコと顔を合わせる。センターの方も向かないでメンチを切り合っている。グローブを落とす準備(※乱闘する)をしている。


 そこで一つ問題があることに気付く。審判は2人の方を向いて困惑しながらベンチを指さす。エンフォーサーの男は手元を見て、スティックを忘れていたことに気付いた。



 ―そして僕(マイク)はダネイコの歯なしの髭面で、「お前は何しに来たんだ」と相手に皮肉っている場面を想像する。


 みんなは爆笑している。誰も数時間後の試合の事など考えていなかった。僕たちは非常にリラックスをしていた。若者として、ベテラン選手がリラックスし、試合を楽しみに挑む姿を見ていると、もの凄く自信が湧いてくる。そしてその夜、僕らは優勝した。僕はゲームウィニング・ゴールを決めた。オハイオ州の家の前の道路で何千回も練習したゴールだ。ダネイコや、他のベテランがこのチームに居たからこそ、決める事が出来たゴールだった。



 ―そして、平等過ぎる2チームが対決する今回のスタンレーカップ・ファイナルで注目して欲しいのがこれだ。シカゴとタンパの両チームの中で、誰が変化を齎す(もたらす)か、紙上で予想するのは極めて難しい。最後的には、メンタル面が一番重要なのだ。


 プレーオフの間、特にファイナルになると、みんなは掃除機
になる。食する物の全てに理由がある。寝る前にストレッチをする。電話には出ないし、メールも返さない。ツイッターなんて見ない。ホッケー以外、頭にない。正直、すごく良い気持ちだ。その瞬間をよりエンジョイすることが出来る。そこで、失うものが何かと考えること、得るものが何かと考えることが出来る。 When you’re playing not to be the dog, it’s a dangerous mindset.

 広告の全てが テイヴス、ケイン、スタムコス、ヘッドマンなど、スター選手ばかりに焦点がおかれる。僕はこのシリーズの両チームにとって誰がケン・ダネイコになるかと考えている。これがスタンレーカップ・チャンピオンになるための秘密のカギだ。



Gut Reaction

 NHLで、イースタンから上位6チーム、ウェスタンから上位6チーム。マジで。誰にどんな利点があるかなんてわからない。瞬きを一度するだけで、また一人のスーパースター選手がゴールを決めて、飛び跳ねている。双方のコーチにとって、とてつもなく変わりやすく、複雑な試合になるだろう。しかし、もし僕がタンパのコーチ、ジョン・クーパーだったとしたら、僕はその複雑さを、さらに複雑にさせることはしない。僕はチームのセットを回し、氷上へ送り、思いっきりプレーして来いと言う。タンパベイのチーム、僕は『バッドボーイ・ピストンズ』を連想する。彼らが敵チームに無礼であると言っている訳ではない。彼らは極度の自信に溢れ、プレーをしている。

 僕は一度、コーチがテイヴスやケインなどの一流選手を引き留めるかと心配しすぎて、選手たちも心配が伝染してしまった状況に陥った場面を経験した事がある。そうなってしまうと、選手は引き留める事に集中、心配しすぎて、自分たちも点を取らなければいけない、ということを忘れてしまう。そのパニックはチーム全体に伝染してしまい、実際にテイヴスやケインがリンクに出た時に、自分のプレーを出来ず、相手が怪我をする、などといった考えが頭をよぎり、体より頭が動いてしまう。ジョン・クーパーはきっと引き留めることも考えながらも、選手たちにはパックを奪って決めて来い、と伝えるだろう。

これが次の鍵。『自信』


注目するべきこと。
 両チームに、良い自信を持ってプレーしているディフェンスが1人ずついる。ダンカン・キースとアントン・ストラルマンだ。まず、ダンカンから始めよう。この男のコンディショニングはNHLのディフェンスマンの平均より尋常じゃないほど秀逸(しゅういつ)している。1試合31分プレーしていることだけではなく、その31分で何をしているかだ。普通のディフェンスの様に常に守っているだけじゃない。彼がブルーラインでシュートをフェイクする様子を見てほしい。彼のフォアスケーティングからバックスケーティングの切り替え方、小回りなターンをする、方向転換などにも注目して欲しい。これらのことは、息切れしているときには非常に、非常に難しいことだ。

 ウィンガーとして、アブノーマル(非典型的)なディフェンスマンには頭を悩ます。ディフェンシブ・ゾーンで高めのディフェンスをマークしている際、この時はこうして、あの時はああしてとパターン化してしまう事がある。エリートなディフェンスをマークしている時もだ。簡潔に言うと、忍耐強く、彼らの前に居続け、シューティング・レーンを防げばいいのだ。しかし、ダンカンの場合、典型的ではない。彼は常に動き回って、他のディフェンスには作れないチャンスを幾度も作り出す。NHLの中でも、自身のスピードに自信を持って、彼の様にピンチ出来るディフェンスは一握りだ。

 一例を挙げる。初めてピッツバーグに来たとき、ディフェンス同士でパスを回し、45度に居るウィングにパスをするというブレイクアウトの練習をした。クリス・レタングがブルーラインで毎回ピンチをしてくる。僕は「こいつは何をやってるんだ」と腹を立てる。彼は目の前まで来て、毎回毎回ピンチをしてくる。だから僕は彼のシンガードを叩いて「やめろよ。実際試合でそんなことしないだろ」と言った。

 レタングは「もちろん試合でもやるさ」と言った。

 そしてそれは本当だった。レギュラーシーズンが始まり、敵のブレイクアウトの際はほぼ毎回ピンチしていた。それは彼が恐らくNHLの中でも5人程、自分のスピードに自信を持ってる選手の一人だからだ。彼はダンカン・キースのように、恐れずプレーをする選手だ。二人とも20代でスタンレーカップで優勝を経験している。つまりそういうことだ。

 ダンカンやレタングと同じようにタンパベイのアントン・ストラルマンは自身のプレーに信念を持っている。今シーズンで彼はエリートなディフェンス群の一員なるほど躍進した。それは彼はプレーをする際に考えすぎなかったからだ。ディフェンシブ・ゾーンでの彼が先を読んでプレーする姿に躊躇は見えない。プレーオフで彼が間違った選択をしたのは一度も見たことがない。クーパーはストラルマンやヘッドマンのようなディフェンスに自由にプレーさせていることに賞賛を受けるべきだ。ニューヨークで一度、ストラルマンとプレーしたことがあるが、その時は3セット目のディフェンスとして、今のような活躍はしていなかったし、する必要が無かった。Dマンとしての要素は全てかけ備えていたが、レンジャーズにはそういったディフェンスが何人も存在していた。良いディフェンスが多かったため、一つでもミスをすれば、彼は干される。多くの選手たちは、ミスをしないことだけを心がけてプレーをする。残りの選手は変化を齎すためにプレーをする。ほんの小さな違いだが、後者は常に躍起になってプレーをする。それらを選手から引き出すには適したコーチングが必要で、クーパーはストラルマンにとって、最適だったのだ。

 ストラルマンとヘッドマンはテイヴスやケイン(ケインが1セット目に戻るとして)と格闘することになり、彼らは非常に楽しいホッケーが出来るだろう。

 そしてここで、次の注目すべき点が出てくる。(パターンがわかったかな?)


The X-Factor(X因子、物事を成り立たせる要素)
 ああ、このシリーズを予想するのは何て難しいんだ。タンパの、スピードという武器を持つセットの三銃士は、レンジャーズ相手も、圧倒する。NHLいち速いチームだ。7試合目でオンドレイ・パラットが決めた素早いパス回しから決めたゴールは、実に美しいものだった。スピード、ケミストリー、最後はきちんと決める能力。あのセットが特別であることを証明する、理想なプレーだった。

 そして、もう片方のシカゴ。「シカゴ」と言うだけでも十分かもしれない。テイヴスが10年に一人のリーダーである、そしてコリー・クローフォードが敬意を払われるべき、というのは、もう以前話した。
(※マイク・ラップは今シーズンのスタンレーカップのシリーズを全て今回の様に分析、予想した。その際書いた記事の事。訳の記事はありません、申し訳ありません。)

 紙上で見て、双方のチームのスター選手は五分五分。1セット目のディフェンスのペアも五分五分。コーチ陣も独自の面でどちらもとても優れている。キーパーも両者波に乗っている。テイヴスとキャラハン、キャプテンも両チーム素晴らしい。お互いアンドリュー・ショーとブライアン・ボイルと言ったムードメーカーもいる。

 ただ一つ、五分五分にならない面がある。シカゴの3,4番目のディフェンスだ。ニコラス・ヤマルソンとジョニー・オデューヤはプレーオフで非常に活躍している。今回のファイナルでは、その活躍を相手の三銃士を抑えるために続けなければならない。カギとなるのは抑える事。タンパベイのトップ6選手はチーム全体の55ゴールのうち、45ゴールを独占している。もしシカゴがそのペースを少しでも抑えきることが出来れば、シカゴは2年連続スタンレーカップ・チャンピオンとなるだろう。


スタンレーカップ・チャンピオン:
・シカゴ。7試合目。

コン・スミス・トロフィー受賞者(プレーオフファイナルMVP):
・ダンカン・キース。AHLでダンカンと2000年頃にプレーしたとき、「ん~、こいつは本当に才能を持っている。でもNHLで活躍するには小さすぎる。」と思った事を覚えている。これで僕の分析者として才能があると証明できる。(※冗談)

 やあ、みんな。これまでプレーオフを分析してて、とても楽しかった。読んでくれてありがとう。ツイッターで野次を飛ばすのも歓迎だよ。@Rupper17.

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 鼻がひん曲がって喧嘩が多い彼なので、こんなに詳しく分析できるのかと、驚きました。しかし、多くのチームを転々としている彼だからこそ出来た分析だと思います。彼が教えてくれた注目すべきカギを、これらの点を気を付けて、今回のスタンレーカップ・ファイナルを見てみると、今まで以上に楽しめるのではないでしょうか。

みなさんは、どちらが優勝すると思いますか?
私は、シカゴ。5試合目かな!

※マイクはダンカンを小さいと言いましたが、ダンカンは185㎝、87㎏。
 ちなみに、NHLいち小柄なマーティン・セントルイ選手は173㎝、82㎏。
 皆さんご存知、ズデノ・チャラ選手は206㎝、116㎏。




マイケル・ラップ (Michael Rupp)

1980年1月13日生まれ、 アメリカ出身
身長:196㎝
体重:110㎏


1998年に9位に、アイランダーズからドラフトにかかるも、OHLでプレー継続。

2000年にふたたび76位で、レンジャーズからドラフトにかかる。


キャリアで計610試合に出場、99ポイント、855分PIM。







 今は、  ブランドン・プラストによる、『乱闘をする理由』という記事を翻訳中です。 

 その記事の後には、ダニエル・カーシロ筆の『Gone』という記事を翻訳するつもりです。Goneとは、無くなる、人の場合は亡くなるという意味です。乱闘する選手の重要性を綴っている記事の後に、その選手たちが背負うプレッシャーやストレスについて、そして、カーシロ選手の友である故・スティーブ・モンタドール選手の死について。モンタドール選手が引退後、何をするべきかわからなくなり、自己嫌悪に至り、痛み止めや精神安定剤などの薬物過剰摂取により亡くなったことについて綴り、NHLに選手の引退後のアフターケアを求める運動を始め、動画などで訴えています。




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『若い自分への手紙』 - ブレンダン・シャナハン

よう、おバカちゃん。

俺は27年後の君だ。ドラフトされた君に手紙を書くよう依頼を受けた。そこで、何点かアドバイスをする。一回しか言わない。質問をせず、ただ実行しろ。

明日、ドラフトに向かう前に、マイアミ・ヴァイスの様な格好をするのはダサいからやめろ。クリーム色のブレザーと緑のズボンは今すぐ捨てろ。シンプルなブルーのスーツと白のシャツを起きた後すぐ買いに行け。あの写真は永遠に残るからな…

ドラフトされたあと―――ちなみに2位に選ばれる―――新しいチーム(デビルス)の人たちと握手やインタビューを受ける前に、ケベックにトレードするように頼め。小柄なジョー・サキックって言うやつがドラフトされる前に…あとでわかるさ。

何回かサスペンションを食らう。あまりNHLの規律励行者にバカな事を言うな。あとでわかるさ…

君のエージェントは最高だ。契約ボーナスを株に投資しろと言われたら、彼に従え。でも1987年10月19日まで待て。タイミングが全てさ。

何か月か経って、地元トロントで初めて試合をする。友達と高校のダンスパーティーに行くな。君はプロのアスリートだ!いや、やっぱりいい。君はバカすぎてチームメイトにその事を伝えてしまうが、みんなを楽しませることはいいことだ。

もうそろそろ、チームメイトから『初歩を教わる。』 彼らは警告する。ロッカーにあるヒートラブ(筋肉痛などに塗る、とても熱くなる塗り薬)を隠せ。一つでも隠し忘れれば、シャワーには行くな。水は熱さ(痛み)を悪化させる。

カラフルなセーターは、ビル・コスビーにしか似合わないから、クローゼットにしまえ。

今考えてる散髪はするな。君はフレッド・サベージと同じ髪質だ。受け入れろ。

それと、グリンチっていうカートゥーンは知ってるか?髭を伸ばすな。そのキャラクターに似てしまう。剃れ。

"Hungry Eyes"という歌は脳裏を去らない。理由は言わない。あとでわかるさ。

もっと頻繁に実家に電話をしろ。一分3ドル、公衆電話で25セントを入れ続けなければいけなくてもだ。世界中が LOL, :) , LMAO , TTYL(LOLは(笑)、:) =顔文字, LMAOは爆笑, TTYLはまたあとで, の意味)に溢れる前の最後になるからだ。それらの意味が全く分からないとしても気にするな。45歳になってもまだわからない。

キャリアの終盤に、ドナルド・ブラシェアという暴れん坊と乱闘をする。彼は君のキャプテンにちょっかいを出し、惨めな程に負ける。でも乱闘しろ。これによって、たくさんビールをタダで飲める。

何回かサスペンションを食らう。あまりNHLの規律励行者にバカな事を言うな。あとでわかるさ…

最後に、勝ちや負けについての詳細は教えない。悲痛なことや、大きな勝利についてもアドバイスはしない。先がわからないのが、楽しみの一つだからだ。でも27年後でも欲しいと言ってくれるチームがあれば、いい話だ。契約しろ。

どっちにしろ、全て楽しめ!

努力をしろ。期待してるぞ。

 年寄りの君より





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ブレンダン・シャナハン (Brendan Shanahan)
カナダ出身
1969年1月23日生まれ
身長:191㎝
体重:100㎏

オールスター:8回出場
スタンレーカップ:3回優勝
カナダ代表:7回

現在はトロント・メープルリープスにて社長を務める。




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2015年6月3日水曜日

『エリート・センター 入門』 - ローガン・コーチャー















みなさん、はじめまして。

"The Players' Tribune" というサイトで、プロのアスリート自らが記事を書くといった面白いサイトを拝見し、アイスホッケー関係はとても貴重なものだと思いました。

そこで、サンホゼ・シャークスのローガン・コーチャー選手の"Elite Centers 101"(エリート・センター入門)という、NHLのエリートなセンター達を彼自身が分析している記事がとても面白かったので、わかりやすく翻訳して、皆さんと共有しようと思います。

まずはコーチャー選手の紹介から。


ローガン・コーチャー (Logan Couture)

1989年3月28日生まれ(26歳)

身長:185cm

体重:93kg

所属チーム:サンホゼ・シャークス 2009年~現在

2010~2011年のシーズンではオールスターにも選ばれています。


ここからはコーチャー選手による記事です。

誤訳もあるかと思いますが、ご了承願います。

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 僕はいつも 「NHLの選手はNHLの試合を見てるの?」 という質問を受ける。もちろん。毎週何時間もの試合を見ている。敵のセンターの仕事を、如何に難しくするかを考える事が
僕の仕事だ。試合を見ている時のほとんどは、どうやって相手のスペースを奪うかを考えている。たまに、自分でも使えそうなちょっとしたテクニックを試合を見て盗んでいる。これから書くことは、NHLのエリートなセンター達が使うすごいテクニックについて。



シドニー・クロスビー (Sidney Crosby)

 幸運なことに、僕らのチームはあまりクロスビーと対戦しない。それと、この記事で彼をリストに入れなければ、僕のツイッターが炎上してしまうと思う。まず始めに、彼の下半身のパワーは、NHLの中でも一際立っている。スピードに限らず、コーナーでパックを守る際の、下半身の使い方がとても上手。彼がニュートラル・ゾーンを突き抜けるときは、ディフェンスマンにとっては悪夢だ。パックが彼のスティックに触れた瞬間、爆発的にギアチェンジをするからだ。ディフェンスの間を綺麗に抜く様子をご覧あれ。




すごいでしょ?もっとすごいのは、ディフェンスの間を抜くとき、氷を一回しか蹴ってないことだから、もう一度見て欲しい。

フェンス際にプレッシャーを掛ければいいと思うでしょ?クロスビーの場合、フェンス際に行かせられたとしても、他の選手のフォアハンドと同じように、バックハンドを使うんだ。普通の選手に対してディフェンスをする場合、意図的にバックハンドになるようにプレッシャーをかける。でも、シド(クロスビー)の場合、それが出来ない。バックハンドから来るシュートは、キーパーにとって反応が非常に難しい。

彼に肩口を狙われたら、キーパーにチャンスはない。12月に行われたデビルス戦のこのラッシュで、クロスビーのバックハンドが世界一だということが良くわかる。




「1試合、1試合全力を尽くす。」、と言うのは簡単なことだが、82試合+プレーオフのスケジュールで、それを実行することはすごく難しい。クロスビーの才能は一目瞭然だが、彼が一番である本当の理由は、フェイスオフ全て、コーナーでの戦い全て、毎シフトに全力を尽くしているからだ。



ジョナサン・テイヴス (Jonathan Toews)

 テイヴスから発想されることは、インテリジェンスだ。彼は何でも出来る。彼に下手なことは無い。彼は汚いゴールも決めるし、キレイなゴールも決める。チェックも上手い。もちろん、彼のパスはエリート級だ。彼の能力は味方のスティックのブレードにパスを出来る事だけじゃない。空間の認識力がすごく高いこと。彼は、他の誰よりプレーの先の先を読むことが出来るため、自分がパス出すために一番適したスペースに移る。百聞は一見にしかず。このワイルド戦のラッシュを見てほしい。ホッサへのパスだけじゃない。これもやばいけど。プレーの先を見て、認識し、サードからパスを受けるために、ワイドの空いたスペースに移動する。That’s hockey smarts.




テイヴスは巨大なわけではないけど、大きい方で、彼は1対1の場面で、例え相手が自身より大きくても、潰しに来る。ブラックハークスはよく、技術と策略について評価されがちだが、キャプテンとして、テイヴスはチーム全体を精神的にも強くしている。



アンゼ・コピター (Anze Kopitar)

 コピターはNHLの中で最も過小評価されてるセンターである。僕たちはいつも彼に会う。残念なことに。彼はサイズ、パワー、知能を持ち合わせていて、彼を相手にプレーするのは、他の選手より難しい。僕たちがキングスと対戦するときは、彼と同じようにプレーしようと心がける。彼のディフェンスに対する意識、責任感は強く、スティックを使うチェックがとても上手。パックがあっちこっちに転がってポゼション争いをする相手として、NHLの中でも超一流だ。

 オフェンスでは、彼の強さが輝く。彼がニュートラルゾーンでスピードの乗ってしまったら、抑えるのが難しい。僕は彼をワイドの方に出来るだけ押す。彼にスペースを与えてはいけない。彼に周りを見させてはいけない。パックを持った彼に1秒でも顔を上げさせてしまえば、危ないスペースに居る誰かを見つけてしまうから。2010年のサンホゼ戦での彼の信じられないようなフリップパスは、僕は決して忘れる事はないだろう。




 僕はその時ベンチに居て、僕のリアクションは『Wow, that was unbelievable.』 きっとこれはちょっとラッキーだったんじゃないか、と思っているだろう。そこで、2011年のセントルイス戦のフリップパスだ。




 これは、サッカーのチップのホッケーバージョンだ。そして、これを使いこなせるのは、今のところコピターだけ。スロベニアのやり方なのかな。



パベル・ダツック (Pavel Datsyuk)

 個人的にNHLの中で観るのが一番好きな選手がパベルだ。僕がまだNHLに入りたての頃、レッドウィングスとは、プレーオフでたくさん対戦した。それらのセリーズで彼と氷上で一緒になる機会が多く、僕にとって大きなチャレンジだった。彼のおかげで僕は選手として成長した。彼は全てにおいて、ものすごく上手だ。彼は自身のディフェンシブ・プレーにプライドを持っている。パベルは、背後からのスティックリフトで相手選手からパックを奪う天才だ。彼は真っ直ぐパックを取りに来ない。彼はスティックリフトに完璧なタイミングまで待って、キレイにパックを持って行ってしまう。オフェンスでのテクニックは言うまでもない。彼は一度、僕に恥をかかせたことがある。僕にユーモアがあるのを証明するために、これを見せる。僕は一生チームメイトにからかわれ続ける。




 このプレーで一番ひどいことは、この日は僕の誕生日だった。試合に勝ったから、まあよかった。幸い、パベルから被害を受けたのは僕ひとりではない。彼のパックハンドリングの技術はNHLでトップだ。彼がよく使う、1つの小さなテクニックは、相手選手の『さんかく』の中でスティックハンドリングをすること。『さんかく』とは、両足とスティックの三点のさんかくのこと。彼はゴールネットも、テクニックとして使ってしまう




 クロスビーを除いて、ダツックのバックハンドは世界一である。そして、クロスビーと同じく、彼は手を抜かない。全般的に優れた選手だ。センターマンとして、理想そのものだ。



ライアン・ゲツラフ (Ryan Getlaf)
 まず、当たり前のことから始めよう―――彼は巨人だ。彼のチェック力は彼のサイズに等しい。当たり前じゃないことは、彼のリーチ(長い腕、スティックによって生まれる広いふり幅)によって、もの凄い強いシュートをワイドから打つ能力があるため、相手をするのがとても難しい。シュートを打つだけの動きで、パックが放たれる場所が変わり、キーパーにとって非常に厄介だ。ゲツラフのクレイジーなふり幅によって生まれたプレーを見てほしい。スチール(テイクアウェイ)だけではなく、ハワード(キーパー)をかわす技も見てほしい。



 パワープレイでは、彼は相手を目線で騙すから、とても危険だ。彼はよく、ゴールを見て、シュートポジションに入りながら、メクラパスする。シュートだと思わせ、パスをする。ちゃんと注意していないと、彼にやられてしまう。もしこの巨人のパス能力を疑うのであれば、2011年のバンクーバー戦での、このクレイジーなメクラを見て。



 ゲツラフのセットは相手ゾーンのゴール裏でパックをサイクルする。相手をするのにはとても体力を費やす。彼らが深い位置に行くと、1分近くパックを回し、相手を疲れさせる。アナハイムは、ゴール裏からのラップアラウンドや、ゴール付近で押し込むような汚いゴールではNHL一番だ。彼らから、ディフェンシブ・ゾーンでパックを奪おうとするのは、楽しくない。全然楽しくない。



ヘンリック・セディン (Henrik Sedin)
 セディンの場合は双子のため、平等じゃない。彼らはテレパシーで通じ合っていて、お互いがどこにいるか、常に把握しているようだ。彼ら二人のバックハンドパスは世界一だ。ゲツラフとペリーと同じように、ゴール裏を使って相手を混乱させるのが得意。彼らはそんなに速くはないが、テクニックは上級で、パックを守るのが上手で、試合のペースを自分たちのペースに落とすことができる。

 ディフェンシブ・ゾーンで彼らに近づくのは危険だ。なぜなら、近づいこうと少しスティックが氷から離れた瞬間に、その穴を通して、もう片方(ダニエル)にパスを出してしまうからだ。彼らに対するルールは、スティックを氷上から離さないこと、そして忍耐強くプレーすること。そうしなければ、やられてしまう。もし、テレパシーのこと信じられないなら、このヘンリックからダニエルのメクラ背後パスを見てくれ。




 今後また、NHLで過小評価されているセンターマンたちを分析をしようと思う。今、僕はコロンバスのライアン・ジョハンセンとダラスのジェイミー・ベンにとても注目をしている。ベンを過小評価されているとはもう言えないかもしれない。年棒もあがったみたいだ。

君の大好きな選手も忘れてないよ

 このリストに、多くのすばらしい選手達が載っていないのは、彼らがエリートじゃないからではない。スティーブン・スタムコスやパトリス・バージェロンはイースタン・コンフェレンスにいるから、近年は分析出来るほど対戦をしていない。もし、君が僕にスタムコスの速いリストシュートのことや、バージェロンの攻防共に優れていることについて離してほしかったのであれば、申し訳ないが出来ない。

もし、君の大好きな選手について、将来分析して欲しいなどのリクエストなどがあれば、ツイートしてくれ。 @LoganCouture

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いかがでしたでしょうか?ものすごく面白い記事だったと思います!

The Players' Tributeには他にも、大ベテランのブレンダン・シャナハンやスコット・ゴメスの記事など、多くの選手の記事が記載されています。今後、時間が許せば、翻訳して、投稿しようと考えております。

 次の投稿をどれにしようか迷っています。良ければ下記の中からコメント欄にてリクエストしてください。

・"Why We Fight" - Brandon Prust ... 『乱闘をする理由』- ブランドン・プラスト(レンジャース)
 ◇エンフォーサー(ファイター)であるプラスト選手による、ファイト(乱闘)についての記事。乱闘を見るのが好きな人にとって、とても面白い記事。好きじゃない人も、これを読んで好きになるかも?
 


・"The 30-Year-Old Rookie" - Ryan Kesler ... 『30歳のルーキー』- ライアン・ケスラー(ダックス)
 ◇ケスラー選手がバンクーバーからアナハイムへプレーオフ開始寸前に移籍して、ルーキーになった気持ちになったことを綴る記事。仲が悪かったペリーと仲良くなった話はとても面白い。
 


"The Real NHLer's Guide to the Stanley Cup Finals" - Mike Rupp ... 『NHL選手によるガイド:スタンレーカップ・ファイナル編』- マイク・ラップ(レンジャース)
 ◇今やベテラン陣に仲間入りしたラップ選手による、プレーオフについて分析、予測し、プレーオフ・ファイナルの見どころ等を綴った記事。どのチームが何試合目で勝つ、誰がコン・スミス・トロフィー(スタンレーカップ・ファイナルのMVP)を受賞するか、も予測する。旬の話題なので、始まる前に書きたいと思ってます。追記―投稿済みです。是非ご覧ください。



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