2015年6月3日水曜日

『エリート・センター 入門』 - ローガン・コーチャー















みなさん、はじめまして。

"The Players' Tribune" というサイトで、プロのアスリート自らが記事を書くといった面白いサイトを拝見し、アイスホッケー関係はとても貴重なものだと思いました。

そこで、サンホゼ・シャークスのローガン・コーチャー選手の"Elite Centers 101"(エリート・センター入門)という、NHLのエリートなセンター達を彼自身が分析している記事がとても面白かったので、わかりやすく翻訳して、皆さんと共有しようと思います。

まずはコーチャー選手の紹介から。


ローガン・コーチャー (Logan Couture)

1989年3月28日生まれ(26歳)

身長:185cm

体重:93kg

所属チーム:サンホゼ・シャークス 2009年~現在

2010~2011年のシーズンではオールスターにも選ばれています。


ここからはコーチャー選手による記事です。

誤訳もあるかと思いますが、ご了承願います。

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 僕はいつも 「NHLの選手はNHLの試合を見てるの?」 という質問を受ける。もちろん。毎週何時間もの試合を見ている。敵のセンターの仕事を、如何に難しくするかを考える事が
僕の仕事だ。試合を見ている時のほとんどは、どうやって相手のスペースを奪うかを考えている。たまに、自分でも使えそうなちょっとしたテクニックを試合を見て盗んでいる。これから書くことは、NHLのエリートなセンター達が使うすごいテクニックについて。



シドニー・クロスビー (Sidney Crosby)

 幸運なことに、僕らのチームはあまりクロスビーと対戦しない。それと、この記事で彼をリストに入れなければ、僕のツイッターが炎上してしまうと思う。まず始めに、彼の下半身のパワーは、NHLの中でも一際立っている。スピードに限らず、コーナーでパックを守る際の、下半身の使い方がとても上手。彼がニュートラル・ゾーンを突き抜けるときは、ディフェンスマンにとっては悪夢だ。パックが彼のスティックに触れた瞬間、爆発的にギアチェンジをするからだ。ディフェンスの間を綺麗に抜く様子をご覧あれ。




すごいでしょ?もっとすごいのは、ディフェンスの間を抜くとき、氷を一回しか蹴ってないことだから、もう一度見て欲しい。

フェンス際にプレッシャーを掛ければいいと思うでしょ?クロスビーの場合、フェンス際に行かせられたとしても、他の選手のフォアハンドと同じように、バックハンドを使うんだ。普通の選手に対してディフェンスをする場合、意図的にバックハンドになるようにプレッシャーをかける。でも、シド(クロスビー)の場合、それが出来ない。バックハンドから来るシュートは、キーパーにとって反応が非常に難しい。

彼に肩口を狙われたら、キーパーにチャンスはない。12月に行われたデビルス戦のこのラッシュで、クロスビーのバックハンドが世界一だということが良くわかる。




「1試合、1試合全力を尽くす。」、と言うのは簡単なことだが、82試合+プレーオフのスケジュールで、それを実行することはすごく難しい。クロスビーの才能は一目瞭然だが、彼が一番である本当の理由は、フェイスオフ全て、コーナーでの戦い全て、毎シフトに全力を尽くしているからだ。



ジョナサン・テイヴス (Jonathan Toews)

 テイヴスから発想されることは、インテリジェンスだ。彼は何でも出来る。彼に下手なことは無い。彼は汚いゴールも決めるし、キレイなゴールも決める。チェックも上手い。もちろん、彼のパスはエリート級だ。彼の能力は味方のスティックのブレードにパスを出来る事だけじゃない。空間の認識力がすごく高いこと。彼は、他の誰よりプレーの先の先を読むことが出来るため、自分がパス出すために一番適したスペースに移る。百聞は一見にしかず。このワイルド戦のラッシュを見てほしい。ホッサへのパスだけじゃない。これもやばいけど。プレーの先を見て、認識し、サードからパスを受けるために、ワイドの空いたスペースに移動する。That’s hockey smarts.




テイヴスは巨大なわけではないけど、大きい方で、彼は1対1の場面で、例え相手が自身より大きくても、潰しに来る。ブラックハークスはよく、技術と策略について評価されがちだが、キャプテンとして、テイヴスはチーム全体を精神的にも強くしている。



アンゼ・コピター (Anze Kopitar)

 コピターはNHLの中で最も過小評価されてるセンターである。僕たちはいつも彼に会う。残念なことに。彼はサイズ、パワー、知能を持ち合わせていて、彼を相手にプレーするのは、他の選手より難しい。僕たちがキングスと対戦するときは、彼と同じようにプレーしようと心がける。彼のディフェンスに対する意識、責任感は強く、スティックを使うチェックがとても上手。パックがあっちこっちに転がってポゼション争いをする相手として、NHLの中でも超一流だ。

 オフェンスでは、彼の強さが輝く。彼がニュートラルゾーンでスピードの乗ってしまったら、抑えるのが難しい。僕は彼をワイドの方に出来るだけ押す。彼にスペースを与えてはいけない。彼に周りを見させてはいけない。パックを持った彼に1秒でも顔を上げさせてしまえば、危ないスペースに居る誰かを見つけてしまうから。2010年のサンホゼ戦での彼の信じられないようなフリップパスは、僕は決して忘れる事はないだろう。




 僕はその時ベンチに居て、僕のリアクションは『Wow, that was unbelievable.』 きっとこれはちょっとラッキーだったんじゃないか、と思っているだろう。そこで、2011年のセントルイス戦のフリップパスだ。




 これは、サッカーのチップのホッケーバージョンだ。そして、これを使いこなせるのは、今のところコピターだけ。スロベニアのやり方なのかな。



パベル・ダツック (Pavel Datsyuk)

 個人的にNHLの中で観るのが一番好きな選手がパベルだ。僕がまだNHLに入りたての頃、レッドウィングスとは、プレーオフでたくさん対戦した。それらのセリーズで彼と氷上で一緒になる機会が多く、僕にとって大きなチャレンジだった。彼のおかげで僕は選手として成長した。彼は全てにおいて、ものすごく上手だ。彼は自身のディフェンシブ・プレーにプライドを持っている。パベルは、背後からのスティックリフトで相手選手からパックを奪う天才だ。彼は真っ直ぐパックを取りに来ない。彼はスティックリフトに完璧なタイミングまで待って、キレイにパックを持って行ってしまう。オフェンスでのテクニックは言うまでもない。彼は一度、僕に恥をかかせたことがある。僕にユーモアがあるのを証明するために、これを見せる。僕は一生チームメイトにからかわれ続ける。




 このプレーで一番ひどいことは、この日は僕の誕生日だった。試合に勝ったから、まあよかった。幸い、パベルから被害を受けたのは僕ひとりではない。彼のパックハンドリングの技術はNHLでトップだ。彼がよく使う、1つの小さなテクニックは、相手選手の『さんかく』の中でスティックハンドリングをすること。『さんかく』とは、両足とスティックの三点のさんかくのこと。彼はゴールネットも、テクニックとして使ってしまう




 クロスビーを除いて、ダツックのバックハンドは世界一である。そして、クロスビーと同じく、彼は手を抜かない。全般的に優れた選手だ。センターマンとして、理想そのものだ。



ライアン・ゲツラフ (Ryan Getlaf)
 まず、当たり前のことから始めよう―――彼は巨人だ。彼のチェック力は彼のサイズに等しい。当たり前じゃないことは、彼のリーチ(長い腕、スティックによって生まれる広いふり幅)によって、もの凄い強いシュートをワイドから打つ能力があるため、相手をするのがとても難しい。シュートを打つだけの動きで、パックが放たれる場所が変わり、キーパーにとって非常に厄介だ。ゲツラフのクレイジーなふり幅によって生まれたプレーを見てほしい。スチール(テイクアウェイ)だけではなく、ハワード(キーパー)をかわす技も見てほしい。



 パワープレイでは、彼は相手を目線で騙すから、とても危険だ。彼はよく、ゴールを見て、シュートポジションに入りながら、メクラパスする。シュートだと思わせ、パスをする。ちゃんと注意していないと、彼にやられてしまう。もしこの巨人のパス能力を疑うのであれば、2011年のバンクーバー戦での、このクレイジーなメクラを見て。



 ゲツラフのセットは相手ゾーンのゴール裏でパックをサイクルする。相手をするのにはとても体力を費やす。彼らが深い位置に行くと、1分近くパックを回し、相手を疲れさせる。アナハイムは、ゴール裏からのラップアラウンドや、ゴール付近で押し込むような汚いゴールではNHL一番だ。彼らから、ディフェンシブ・ゾーンでパックを奪おうとするのは、楽しくない。全然楽しくない。



ヘンリック・セディン (Henrik Sedin)
 セディンの場合は双子のため、平等じゃない。彼らはテレパシーで通じ合っていて、お互いがどこにいるか、常に把握しているようだ。彼ら二人のバックハンドパスは世界一だ。ゲツラフとペリーと同じように、ゴール裏を使って相手を混乱させるのが得意。彼らはそんなに速くはないが、テクニックは上級で、パックを守るのが上手で、試合のペースを自分たちのペースに落とすことができる。

 ディフェンシブ・ゾーンで彼らに近づくのは危険だ。なぜなら、近づいこうと少しスティックが氷から離れた瞬間に、その穴を通して、もう片方(ダニエル)にパスを出してしまうからだ。彼らに対するルールは、スティックを氷上から離さないこと、そして忍耐強くプレーすること。そうしなければ、やられてしまう。もし、テレパシーのこと信じられないなら、このヘンリックからダニエルのメクラ背後パスを見てくれ。




 今後また、NHLで過小評価されているセンターマンたちを分析をしようと思う。今、僕はコロンバスのライアン・ジョハンセンとダラスのジェイミー・ベンにとても注目をしている。ベンを過小評価されているとはもう言えないかもしれない。年棒もあがったみたいだ。

君の大好きな選手も忘れてないよ

 このリストに、多くのすばらしい選手達が載っていないのは、彼らがエリートじゃないからではない。スティーブン・スタムコスやパトリス・バージェロンはイースタン・コンフェレンスにいるから、近年は分析出来るほど対戦をしていない。もし、君が僕にスタムコスの速いリストシュートのことや、バージェロンの攻防共に優れていることについて離してほしかったのであれば、申し訳ないが出来ない。

もし、君の大好きな選手について、将来分析して欲しいなどのリクエストなどがあれば、ツイートしてくれ。 @LoganCouture

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いかがでしたでしょうか?ものすごく面白い記事だったと思います!

The Players' Tributeには他にも、大ベテランのブレンダン・シャナハンやスコット・ゴメスの記事など、多くの選手の記事が記載されています。今後、時間が許せば、翻訳して、投稿しようと考えております。

 次の投稿をどれにしようか迷っています。良ければ下記の中からコメント欄にてリクエストしてください。

・"Why We Fight" - Brandon Prust ... 『乱闘をする理由』- ブランドン・プラスト(レンジャース)
 ◇エンフォーサー(ファイター)であるプラスト選手による、ファイト(乱闘)についての記事。乱闘を見るのが好きな人にとって、とても面白い記事。好きじゃない人も、これを読んで好きになるかも?
 


・"The 30-Year-Old Rookie" - Ryan Kesler ... 『30歳のルーキー』- ライアン・ケスラー(ダックス)
 ◇ケスラー選手がバンクーバーからアナハイムへプレーオフ開始寸前に移籍して、ルーキーになった気持ちになったことを綴る記事。仲が悪かったペリーと仲良くなった話はとても面白い。
 


"The Real NHLer's Guide to the Stanley Cup Finals" - Mike Rupp ... 『NHL選手によるガイド:スタンレーカップ・ファイナル編』- マイク・ラップ(レンジャース)
 ◇今やベテラン陣に仲間入りしたラップ選手による、プレーオフについて分析、予測し、プレーオフ・ファイナルの見どころ等を綴った記事。どのチームが何試合目で勝つ、誰がコン・スミス・トロフィー(スタンレーカップ・ファイナルのMVP)を受賞するか、も予測する。旬の話題なので、始まる前に書きたいと思ってます。追記―投稿済みです。是非ご覧ください。



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